- 著者:
- 伊集院静
- 朗読:
- 谷口和花子
葉子は高い樹から墜ちた時の指のけがで、バイオリンが弾けなくなったと言っていた。が、父の急死で故郷に帰った葉子は、付き添ってきてくれた行雄にだけは真相を語ろうとする・・・
オーディオブックのことなら名作・名著を文芸から一般・学術書まで提供することのは出版オーディオブック。日本の心シリーズ、文豪、時代小説など脳を健康にするオーディオブックを揃えています。
葉子は高い樹から墜ちた時の指のけがで、バイオリンが弾けなくなったと言っていた。が、父の急死で故郷に帰った葉子は、付き添ってきてくれた行雄にだけは真相を語ろうとする・・・
正作と惇が2人で七夕飾りの笹竹取りに出かけ、正作が妻のみやげにしようと皐月に手をのばしたとたん事故は起こった・・・ 父親と息子の絆をすがすがしく描く。
14才の春、少年は瀬戸内海沿いの故郷を出た。そしてそれから20数年後美花鮨を開店した。開店当日母が急死する。ずっと彼を支え続けてくれた母の人生は・・・
「目に見えぬところの丁寧さが 最後には表へ出て来るからな」・・・不自由な足と吃音癖とを持った、不器用な若い経師職人廣作のひたむきな日常
夕陽がこんなに大きいんです。」小さな島に小さな教会を建てるのだという真人の夢は、親友の月丘修に引き継がれた。教会を一人で建てる男の、情熱とロマンを描く。
「お江戸の頃から、花盗人は罪にはならなかったって話だ…」最後の花盗人といわれる深沢粂三から学んだ志津子は、客の注文に応じて新潟の弥彦村に桜を盗りに出かける。
高野順三と渡辺孝雄。往年のの野球少年二人は今、久しぶりに再会し、恩師諸田の、野球を通しての数々の教えを懐かしく思い起こす・・・
定年の帰路、夜空の月を見上げた鐡次郎は、夫の回復を祈る孫娘の姿に老妻の言葉が重なり、その「受け月」に向かって静に両手を合わせていた。 (直木賞受賞作)
高比良は、今日定年を迎えた。ふと、毎日通勤電車の車窓から眺めていた丘の上の大きな木に逢いに行こうと思い立った。探し回ってやっと見つけた木の幹を撫ぜながら・・・
相撲取りを目指して挫折し、鎌倉で小料理屋を営む佐山久治。昔は甲子園を沸かせたY高のエース大矢正一。 年月を経て、男同士かけがえの無い友情を深めていた・・・
幼い頃、母と自分を置いて出て行った父を正一は憎んでいた。二十数年ぶりに小料理屋で父と再会した正一は、話題も途切れがちで、切子の器の美しさが妙に心に残った。
ガラスで出来たピエロの人形を拾った事から、トオルは病気のソウ君とその姉さんと友達になった。ソウ君を元気づけるためにトオルはホームランを打ちたかった・・・
双子の兄妹の純也と淑子。淑子が難しい病気にかかり、純也は母と二人で看病する毎日。 そんなある日、純也は都会の匂いをさせた野球の上手な少女と出会った・・・
廣代は、句会の席で自分を見つめる吉井の視線を感じていた。バネ指を患って、病院に行った廣代は、偶然中庭のベンチでパジャマ姿の吉井の姿をみかける・・・
あなたとともに生きて行きたいと願う倫子に、消防士の邦夫は「俺は、その時が来た時、躊躇うことがないように生きていたいんです」と、心を開こうとしなかった・・・
瀬戸の小島の生徒数7人の小学校に赴任してきた青年は、病気で口がきけなくなっていた。「先生は口がきけんのか。機関車先生だ」—・・・涙なしでは聞けない名作。
結婚を控えた娘に、今は亡き夫との新婚時代を思い出す、さちえ。そのころは、自分が人並に幸せになどなれるわけがないと信じ込んでいた・・・ 温かい涙が溢れる佳作。
チヌを釣りながら亀次は考える。幼い頃から鈍いといじめられたが、一家の主となり、孫の顔も見れた、上出来だ・・・— 男が自分でも気付かずに背負ってきたモノを描く。
無気力に呑まれて公園にいた男が、投手が来なくて困っている草野球の選手たちに力を貸すことに。—じつは男は、昔、投手として甲子園を目指していたのだった・・・
つつましくキラリと光るものを持ち、かつ巧みに企まれた小傑作が七つも収められているのだから、これは立派な一冊と言わねばならない。(直木賞受賞受賞にあたっての選評より)