- 著者:
- 野村胡堂
- 朗読:
- 後藤敦
大名の目にとまった町娘が産んだ男の子が霍乱で死んだというのです。「一万二千石を叩き潰す方がどんなに溜飲が下がるかわからねえ」孫を失った源太郎の意地がはじけます。
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大名の目にとまった町娘が産んだ男の子が霍乱で死んだというのです。「一万二千石を叩き潰す方がどんなに溜飲が下がるかわからねえ」孫を失った源太郎の意地がはじけます。
「俺の口から『八五郎は大した腕だから、さぞお役に立ちましょう』とは言えないじゃないか」と平次に送り出された先で、八五郎、間抜けな手柄と、見事な手柄をたてました。
万両分限の大町人河内屋又兵衛の跡取りが殺された。疑いは代わって跡を継ぐ者にかけられたが。「親分、泥棒は物を盗るのが商売でしょう」すべては仕組まれていたのです。
一国一城にも代え難いと言われた天下の名器が、大々名家から内々に借受けていた玉屋金兵衛宅の奥座敷から消え失せた。「私はまず腹でも切らなければ済まぬ」
「――なア八、憎いのは町内の衆じゃなくて、人間を牛芳や人参のように斬って歩く、辻斬野郎じゃないか」その憎いのは、意外なところにひそんでおりました。
「ヘエーー、本当ですか、親分」八五郎は驚いて存分に鼻の下を長くした。与力笹野新三郎の役宅で屠蘇を祝ったばかりの帰り途、平次が一杯呑み直そうと言い出したのだった。
東照宮伝来の名刀を偽造した御徒士町の研屋五兵衛が自害した。「晩酌を一本つけさせ、いい機嫌で御飯を済ました人が、窓を開けたままで、自害する人があるでしょうか」
泥棒の物音を隠す狸囃子。「本所の狸囃子というのは話の種にはなっているが、真当にそんなものがあるとは思わなかったよ」「知らない方は皆んなそうおっしゃいます」
「私の大事の大事の、命より大事の手箱が無くなった」騒ぐ女に中身を聞くと、海雲寺様の富籤が一枚入っているという。「外には」「外には何にもありゃアしません」
「誰です、その下手人は」「手前だけに言っておくが、あの肥っちょの、ニヤニヤした野郎だよ」「えッ」平次の推理当たるや当たらざるや・・・!?
「親分、子さらいが流行るんだってネ」八五郎が噂する間にも、また一人。「俺の縄張うちへ来ちゃ放っておけまい」しかしこのたびの件は、流行りの人さらいとは様子が違います。
「お政が来たはずじゃないか」「でも、それは勘定に入らないでしょう。殺された人ですもの」「なるほど、そう言えばその通りだ」・・平次は謎めいた言葉とともに苦笑します。
「この下手人は、三輪の兄可が晩んだ板倉屋でもなきゃ、名乗って出たお前でもないのさ。まアまア俺に任せておきな」細工は流々仕上げを御覧じろ、の平次であります。
「――不景気と言や、親分、近頃銭形の親分が銭を投げねえという評判だが」とはガラッ八の減らず口。・・お待たせしました。平次の颯爽たる投げ銭の技、お楽しみください。
「それでも文句を言うなら、結納の代りだとか何とか、いい加減な事を言って、これを見せるがいい」平次は何やら風呂敷に包んだ品をガラッ八に持たせ、策を授けるのでした。
「親分、驚いたぜ、――御用間がなぐり込みの片棒をかつぐなんて」「シッ、黙っていろ、――これは御用間の仁義さ。」平次の慧眼と男気、ガラッ八とのかけあいの光る一作です。
かちりとスイッチが入れば、その時、目の前にいた者が馬鹿を見る。それだけだ――翔人は転落のあげく山奥に迷い込み、老婆に出会う。心理サスペンスの傑作にして再生の物語
振られ男の徳松。義姉のお吉。継父の弥助。お菊殺しの下手人はつごう三人になりました。御用聞・三つ股の源吉も、さすがに三人も奉行所に送るわけにもいきません。
「あれが自殺だというんですかい、親分」驚くガラッ八。人間は、自分の頸を絞めて死んでしまってから、池へ上半身を突っ込むなんて器用なことが出来るはずもありません。
平次は重大な謎を投げかけました。それを解けるのは、いつぞや平次が女房のお静に髭を当らせているのを見たガラッ八だけかもわかりません。