- 著者:
- 野村胡堂
- 朗読:
- 後藤敦
殺された宗方善五郎が遺した紙にはくろぐろと「拙者こと万一非業に相果候様のこと有之節は、屹度有峰杉之助を御詮議相成り度く為後日右書き遺し申候也」と、あった・・・
オーディオブックのことなら名作・名著を文芸から一般・学術書まで提供することのは出版オーディオブック。日本の心シリーズ、文豪、時代小説など脳を健康にするオーディオブックを揃えています。
殺された宗方善五郎が遺した紙にはくろぐろと「拙者こと万一非業に相果候様のこと有之節は、屹度有峰杉之助を御詮議相成り度く為後日右書き遺し申候也」と、あった・・・
毎日毎日お神籤を引き、読みもせずに格子に結わえる娘。そしてその娘をつける男。「馬鹿なことを言え、町方の岡っ引が、二千五百石のお旗本の屋敷へ乗込めるわけはない」…
正月早々、子供5人が掻き消えた。「五人の子供を助けるのは、功徳にもなるぜ」ガラッ八の手柄にと考えた平次だがその心遣いが仇となった。「昨日ちょいと顔を出しゃ・・」
有徳の米屋・相模屋総兵衛が殺された。いなくなった下男。消えた百両。血まみれの着物。「下手人は挙がったか」「挙ったようなものですよ」――そうは問屋がおろさなかった・・・
江戸中に諜報の網を張っている早耳のガラッ八が聞きつけてきたつまらねえ物盗りの話。「この財布を知っているだろうな」裏には、子を思う親と、性根の腐った男がおりました。
百姓男が平次のもとに判じ物を持ち込んできた。「この謎々を解けば一体どんなことになるんだ」「ほんの内証事で」それきりのはずが、死んだ大名主の家で再会したのでした。
明星のような人気者お玉の骸が揚がった。「あの死骸は違っていますよ」「何?」「玉ちゃんによく似ていますが、玉ちゃんじゃありませんよ」ささやいたお関まで行方知れずに…
巨額の支度金を取って妾奉公に出た上、その新床で糞尿を垂れ流して旦那の愛想をつかせるように仕組み次々に支度金をせしめて歩く美しき女達「小便組」に疑われた女の事件です。
駒形の地主佐渡屋平左衛門が命を狙われているような気がすると言うのを「妾に暇をやつて、一家一族の者に身上を半分もわけてやるが宜い」と平次が流していたところ・・
「親分、サア大変ッ」「大変の安売りはどこだえ」「安売りなんかじゃありゃしません、飛びっきりの大変なんで」不老長寿の薬を売って富を積んだ百寿園寿斎が殺されたのです。
ガラッ八ではなくその叔母さんが平次のもとに飛び込んで来て「あの子と来たら、私の知らないうちに、どこかの馬の骨と仲よくなって、女の子まで産ませていたんだから――」
本郷切っての人気娘お駒が殺された。人形のような顔に何の怨みも驚きもなく、幸福な思い出し笑いでもしているかの表情で事切れていた。「やはり、あのばかか」‥
大名の目にとまった町娘が産んだ男の子が霍乱で死んだというのです。「一万二千石を叩き潰す方がどんなに溜飲が下がるかわからねえ」孫を失った源太郎の意地がはじけます。
「俺の口から『八五郎は大した腕だから、さぞお役に立ちましょう』とは言えないじゃないか」と平次に送り出された先で、八五郎、間抜けな手柄と、見事な手柄をたてました。
万両分限の大町人河内屋又兵衛の跡取りが殺された。疑いは代わって跡を継ぐ者にかけられたが。「親分、泥棒は物を盗るのが商売でしょう」すべては仕組まれていたのです。
一国一城にも代え難いと言われた天下の名器が、大々名家から内々に借受けていた玉屋金兵衛宅の奥座敷から消え失せた。「私はまず腹でも切らなければ済まぬ」
「――なア八、憎いのは町内の衆じゃなくて、人間を牛芳や人参のように斬って歩く、辻斬野郎じゃないか」その憎いのは、意外なところにひそんでおりました。
「ヘエーー、本当ですか、親分」八五郎は驚いて存分に鼻の下を長くした。与力笹野新三郎の役宅で屠蘇を祝ったばかりの帰り途、平次が一杯呑み直そうと言い出したのだった。
東照宮伝来の名刀を偽造した御徒士町の研屋五兵衛が自害した。「晩酌を一本つけさせ、いい機嫌で御飯を済ました人が、窓を開けたままで、自害する人があるでしょうか」
泥棒の物音を隠す狸囃子。「本所の狸囃子というのは話の種にはなっているが、真当にそんなものがあるとは思わなかったよ」「知らない方は皆んなそうおっしゃいます」