「奇妙な味」を知っていますか?
「奇妙な味」とは推理小説のジャンルの一つで、
各話がとても短いのと、読み終わった後の音味の悪さが特徴のことです。
展開の早さと、衝撃的な結末に中毒者多数の「奇妙な味」の名手、
阿刀田高先生の傑作短編集です。読者が物語の情緒を想像しやすく短くて奇妙な世界に引き込まれます。
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収入のほとんどをナポレオンのために消費する男・南沢金兵衛。
彼はコレクションが並べられた4階建ての建物「ナポレオン記念館」も持つ「ナポレオン狂」だった。
そしてもう一人、「ナポレオンの生まれ変わりだ」と信じ切っている宇村瀬という「ナポレオン狂」。
その両者を引き合わせた結果・・・。
ナポレオン・ボナパルトは1769年8月15日にフランスのコルシカ島に生まれました。
ナポレオンと言えば馬に乗って片手をあげている写真が特徴的です。
彼はフランス革命後のフランスを統一した天才の軍人であり、皇帝でした。
ナポレオンは幼少期から頭が大変良く、
15歳の時にパリ士官学校に入学後、卒業までに4年かかるところを
なんと11ヶ月で卒業してしまいます。
天才児のナポレオンは特に数学が得意だったそうです。
馬に乗り存在感大!の写真のナポレオンですが、背が低いのがコンプレックスで、
クラスメイトからからかわれていたそうです。
ナポレオンは27歳の時に、貴族出身のジョセフィーヌ・ド・ボアルネと結婚しました。
ナポレオンは彼女をとても愛していましたが、ナポレオンが対戦で家を空けている間に
彼女は浮気をしてしまいます。
それを聞きつけたナポレオンは彼女に手紙を送りましたが、
その手紙は輸送中に輸送船が敵国のイギリス軍に乗っ取られてしまいます。
ナポレオンの手紙はイギリスメディアで公開されてしまいました。
恥ずかしい一説です・・・。
彼女とナポレオンの間に子供が恵まれず、二人は離婚をしてしまいます。
ナポレオンは後妻をもらいますが、後妻が嫉妬するほどに二人の友情関係は続きました。
そしてナポレオンが死ぬ直前に読んだのも彼女の名前だったそうです。
私が後妻ならたえられません。
ナポレオンといえば戦術や戦争の話をよく耳にしますが、それだけではありません。
革命前のフランスは絶対王政といい王や貴族の独占体制であったため、民衆は苦しい税金の支払いと貧しい暮らしに
追われていました。
そこでナポレオンは、どんな身分の民衆も平等に、そして自由に生きていける新しい世の中を作り上げるため、
「ナポレオン法典」をつくりました。
この法典は現代のフランス近代法典の基盤になり、日本の民法の参考としても使用されています。
阿刀田高の代表作ともいえる『ナポレオン狂』は
その後のストーリーを少し自分で想像してしまいます。
名手と言われるだけあってブラックユーモアがとても効いていて背筋がぞわっとしました。
狂った人同士掛け合わせる奇抜な話は日常と非日常がうまく入り交じっていて面白く、気がつくと聴き終わっていました笑
裕福な家に育ち、夫も超一流企業に勤め、
何不自由なく暮らす真樹子。
真樹子が子供を授かり、
娘の幸恵を出産するときに知り合った雑役婦の神崎初江。
神崎初江は最初は気が利き、
気さくな女性だったが次第に馴れ馴れしさを増してゆく。
退院した後も月に何度も家に訪れては強引に上がり込み幸恵の様子を見て帰って行く。
ある日、玄関のチャイムが鳴った。
玄関を開けると警察だった。
「神崎初江をご存じですか?」と警察の問いに対し、
「あ、はい、今奥の部屋で赤ん坊をあやしてますけど・・・何か?」
途端に警察は焦って奥の部屋に向かった_。
彼女は一体何者なのか・・・。
「一体誰に似たんだか・・・。」
よく聞く言葉ですが、これが冗談じゃなく本当に家族が赤の他人だったら・・・・・・・。
現在では取り違え防止策など様々な防止策があり、なかなか取り替える事件もありませんが、
昔はあったそうです。
調べて見ると、取り替えの事件もですが、
意外と新生児取り替えを題材にした作品があるのでびっくりしました。
※ちなみにキン肉マンに出てくるキン肉スグルも取り替え疑惑がある事を理由に5人の王位継承者候補と戦うことになる。
小説では「ねじれた絆」 (1971年に沖縄で実際に発生して1977年に発覚した事件を題材としているもの。)
あたりがリアリティがあり(実際に事件でありましたが)、緊張感もある作品で、個人的なおすすめ作品です。
結末が曖昧なのが恐怖を引き立てていて面白かったです。
こんなこと現実であるはず無い!とは言い切れない話なので妙にリアルで不気味でした。
実際に赤ちゃんの差し替えや連れ去りなどの事件があるので臨場感があります。
「12月26日、夜の8時、帝国ホテルのロビーに行ってくれ。
11年前にパリで約束した、サンジェルマン伯爵がまっている・・・。」
と言い残し父はこの世を去ってしまった。
調べてみるとこの「サンジェルマン伯爵」という人物は
「不老不死」を手に入れたオカルト界で有名な人物だった。
そんな不気味な男となぜ父が?父の妄想に決まっている。
と思いながらも約束の日、帝国ホテルのロビーに来てしまった・・・。
不老不死と言われた男サンジェルマン伯爵は実在する人でした。
「サン・ジェルマン伯爵考」を聞いて不老不死に興味がわいたので調べて見ると、
サンジェルマン伯爵について沢山の逸話が飛び出してきました。
そのなかで面白いなと思った逸話をいくつかご紹介します。
サンジェルマン伯爵が生まれたのは1671年もしくは1707と言われています。
そして亡くなったのは1784年2月27日です。
スペインの王妃マリア・デ・ネオブルゴとその愛人の間に生まれた子という仮説が最も有名です。
この仮説はサンジェルマン伯爵が資産を持っていたことから有力視されていますが、
歴史的な裏付けなどは一切ありません。
いつ生まれたのかも、前半生何をしていたのかも何もかも謎に包まれたサンジェルマン伯爵なのでした。
サンジェルマン伯爵の存在が知られるようになったのは1740年の半ば頃からでした。
その頃かれはバイオリン奏者と作曲家として生活していたそうです。
このとき伯爵は生活に余裕があったと考えられています。
その証拠に、無報酬でイタリアの歌集を制作したそうです。
また、自作の曲も出版するなど音楽活動を精力的に行っていたそうです。
現在でもサンジェルマン伯爵の作曲した楽譜は入手可能で、ドイツのhaan engelsから出版されているそうです。
興味がある方は是非!
サンジェルマン伯爵と言えば不老不死説が有名ですよね。
作曲家のジャン・フィリップ・ラモーは「自分は人生で何度かサンジェルマン伯爵にあったことがあるが、
数十年立ってもどれも同じサンジェルマン伯爵だった。彼の存在は神秘そのものだった。」
と記されているそうです。
また自らも不老不死を認めていることから不老不死説が浮上しました。
私も不老不死があるのならば若く健康なままいたいものです。
不老不死のサンジェルマン伯爵ですが、なんと空間移動も出来ちゃうそうです。
サンジェルマン伯爵の友人が「彼は扉を通らないで自室や友人の部屋に姿を現したり消したりしていた」
と証言していたことと、ルイ16世夫婦が捉えられていた頃、当時侍女だったアデマール夫人はサンジェルマン伯爵に、
「私は永遠に時を旅しているので未来のことが分かるのです。私はちょうど今、
日本から帰ったばかりですが、国王夫妻は私の忠告を聞こうとしなかったようですね。
もうあの2人はおしまいですが、それは私には関係のないことです。」
と、言われた後、忽然と姿を消したと話していたそうです。
サンジェルマン伯爵は無敵ですね。
フランス革命後のフランス国内に現れたサンジェルマン伯爵は、王家の危機を予言し、
マリー・アントワネットに警告したが聞き入れなかったという逸話も残っています。
サンジェルマン研究家によると、サンジェルマン伯爵は1984年から日本に滞在しているそうです。
本当だったらこわいはなしですね。
サンジェルマン伯爵考はタイムトラベラーや、錬金術が出来ると言われている人ですが、
どれも未知の世界で理解が追いつきません。
結末が曖昧なのが恐怖を引き立てていて面白かったです。
こんなこと現実であるはず無い!とは言い切れない話なので妙にリアルで不気味でした。
実際に赤ちゃんの差し替えや連れ去りなどの事件があるので臨場感があります。
会社のお金に手をつけてしまった自分の娘を救うべく、
誘拐を企てた。
恋愛にはほど遠い父だったが、
それが命取りになってしまう・・・。
ブラックユーモアもあり、
推理小説風でもあり他の阿刀田高の作品とはまたひと味違うので新鮮でした。
自分の借金くらい自分でなんとかしろよ!
と思わず突っ込んでしまいそうになる出だしから、
最後のオチには思わずニヤッとしてしまうまで色んな感情がわき上がってきました。
文句なしの才色兼備の妻をもち、
どこもかしこも完璧な生活だった。
が、何かがおかしい。
昼間の妻の行動を監視すると得体の知れない影の部分があった・・・。
28歳の妻、泰子と結婚して1年。
よく気が利き、なんでもそつなくこなす美人だった。
新居を構えて、泰子は内職を始めた。
しかしそれでも家事が劣る事は無くすべて完璧だった。
夫婦生活もうまくいっている。
しかし、何かがおかしい。
何かがおかしいと思い泰子の日中の行動を興信所に調べてもらいにゆく・・・。
ファンタジー要素あり?の作品でした。
「何かがおかしい」と最初からモヤモヤした気持ちを抱きつつも日常生活を送って
「自分の思い過ごしかな?」程度から、絶対におかしい!
と確信するまでの心境の変化が今作の一番の聴きどころだと思います。
最後の最後まで妻のおかしい理由が分からず結末が読めないので聞き終わりまでわくわくすることができました。
ファンタジー要素含むブラックユーモアストーリー!
フォルクスワーゲンで白タクをやっていた北村はタクシーに追突され入院することに。
その日の夜、愛車のフォルクスワーゲンが北村に話しかける。
「私一人で稼いできます。」と。
愛車のワーゲン恩返しが始まった・・・。
えー!まさかのファンタジー!?と思いながらも、
ワーゲン良い子だなーなんて油断して聴いていたらとんでもない。
よかった。やっぱり阿刀田高の作品だと、
胸をなで下ろしながらもどんでん返しが怖かったです。
主人公だけでは無く読者や聴いてるこちら側までもが引き込まれるある意味ファンタジーな作品でした。
ゴルフ発祥の地はスコットランドかイングランドか。
イングランドとスコットランド、
どちらがゴルフの発祥地か二人の領主が争い、
ゴルフで決着をつけることに。
魔法の鏡で練習した靴やを仲間に入れたスコットランドが圧勝したが収まらないイングランドは・・・。
結局二人はどうなったのか。
という疑問を残され今もその先のストーリーを考えています。
阿刀田高さんの言い切らない結末は想像力を働かせてくれるので聞き終わったら終わり!
では済まされず自分が納得いく結末を考えさせてくれる作品だと思っています。
ブラックユーモアなのでどれも後味は良くはありませんが。笑
この作品も例外では無く、考えさせられます。
余韻までとても楽しいそんな1話でした。
結婚を控えた男性の元に夜な夜なやってくる綺麗な顔立ちの女。
名前を聞いても答えてくれない。
顔をよく見ても見覚えが無い。
布団に忍び込んでくる女とは一体だれなのか・・・。
最後の最後まで謎だった。
これは夢なのか?現実なのか?
と考えさせられてしまう不思議な不思議なお話でした。
婚約者の女性が不憫なのでどうか夢であってほしいです。
「仲良くなったその魚までだんだん体が透き通ってゆくのよ。」
コーヒーの香り漂う喫茶店で知り合った男女の隠微でファンタジーな一時。
青山の裏通りにあるエルマールという喫茶店に招き入れられるかのように入店した。
あたりを見渡すと右側に水槽があり、
その中にビー玉のような目を光らせた透明な魚が居た。
魚に見入っていると栗色のコートを着た一人の女性がいた。
勝手に相席し、透明な魚について語りだした・・・。
アバンチュールな夜が始まる!
と思いきや実は・・・。って感じで戻ってくるので結末が聞き終わるまで予想出来ませんでした。
透明なお魚は一体どこへ行ったんだろう。
透明だから見えないだけかな?と不思議さを残す聴いた後も楽しい作品でした。
平凡なサラリーマンと主婦の日常の会話の一コマを描いたショートミステリー。
ある日の夕食、
歯が悪く食事が進まないサラリーマンの主人公に虫歯一つ無く丈夫な歯をもつ妊婦の妻が
「歯が良い子は秀才である」と語った。
主人公も納得できなくなかった。
夕食後、妻が粉薬を飲み始めた。
「風邪か?」とたずねると、
「生まれてくる子供の歯のためにもカルシウム摂っているの。」
といい白い粉薬を飲み込んだ・・・。
こんな短い話の中でよくまとまるなと感心するほど綺麗にまとまっていて、
しっかり怖かったです。
恐怖というよりは驚怖でした。笑
ついつい聴きながらはだしのゲンを思い出してしまいました。
おっとこれはネタバレかも。
締め切りが刻一刻と迫るがどうしても間に合わない作家の苦悩の手紙。
作家は自分が鳥取で体験した不思議な出来事を手紙に言い訳と共に書いていく・・・。
物語の進み方が、
まるで今出来上がったかのように進んでいくので斬新かつ新鮮な、
出来上がったばかりの作品を一番に聴いてる感覚になれました。
無意識に書いてると想像すると少し怖いけど、
作家魂が感じられて面白かったです。