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朗読時間 228分
CD枚数 3枚組
はしがき
最初のはしがきと、最後のあとがきは、
「私」という第三者の目線で始まります。
「私は、その男の写真を三葉、みたことがある。」
この書き出しから始まり、「私」が葉蔵の写真を見た感想を述べています。
1枚目の写真は10歳前後で顔は笑ってはいるものの、薄気味悪い雰囲気をまとい「猿の笑顔」とした。
2枚目の写真は学生時代のもので整った顔立ちを浮かべているが、「生きている人間の感じがしない。」とした。
そして3枚目は白髪で年も何歳か分からなく、表情はありませんでした。
印象には残らないが「私」は「見るものをゾッとさせる」と感じました。
と三枚の写真を「私」が見比べている様子が描かれています。
第一の手記
「恥の多い生涯を送って来ました。」
有名なこの書き出しから始まる第一の手記では葉蔵の少年時代について書かれています。
「自分」は人とは違う感覚を持っていることに混乱し発狂しそうになります。
葉蔵は人間の営みや、幸福というものに実感がわかず、他人を恐れながらも、愛されようと
いつも周囲を笑わせる「お道化」を演じることを選びました。
どんなに明るく振る舞っても、周りと互いに欺きあっても人間の営みを理解することは出来ませんでした。
自分の親の心も当然ながら分からない葉蔵は女中や下男に暴行を受けても、反抗することはなく、
力なく笑っていただけでした。
第二の手記
第二の手記は中学時代に入ります。
中学生になった葉蔵は「お道化」がすっかり板についていました。
しかしクラスメートの竹一に見破られそうになります。
「お道化」だということを見破られないように葉蔵は竹一に寄り添い親友になることにしました。
その結果竹一に見破られずにいることに成功しまいた。
画塾で知り合った堀木という男に酒と女とたばこを教えられます。
これをしている時はひとときの解放をもたらしていたようです。
それでも様々なしがらみに疲れていき、
カフェで知り合った女性のツネ子と心中をはかります。
しかし葉蔵だけが生き残ってしまい、罪に問われてしまいました。
父親との取引があるヒラメという男に引き取られることになりましたが、精神は不安定なままでした。
第三の手記
ヒラメという男に一時お世話になっていた葉蔵でしたが、将来をどうするのかとヒラメに問いただされ、
生活とヒラメに窮屈に感じた葉蔵はヒラメの元を離れました。
その家出をきっかけに子持ちの女性、バーのマダムなどと破壊的な女性関係にのめり込んでしまいます。
「自分」はさらに絶望の淵に立つことになりました。
そんな中で知り合った女がいました。
純粋無垢なその女性に葉蔵は強く惹かれました。
結婚をすることになり、葉蔵は一時の幸福をてにいれました。
しかし幸せは長くは続かないもので、疑うことを知らない嫁は出入りの商人に犯されてしまいます。
あまりの絶望に酒を大量に摂取したり、たまたま見つけた嫁の睡眠薬を当てつけのように大量に摂取して自殺未遂をおこすなど、
また精神が不安定になっていくのでした・・・。
あとがき
あとがきでは「私」に戻って話は進みます。
バーのマダムと会って葉蔵の手記と写真をみて葉蔵のその後についてをマダムに聞きます・・・。
太宰治治はこんな人でした
番外編ではありますが、文豪の太宰治がどんな人なのかまとめてみました
芥川龍之介のことが大好きでした。
太宰治は学生の頃から芥川龍之介が大好きだったそうです。
2013年に太宰治が授業で使っていたノートが発見されました。
そのノートには芥川龍之介の名前がびっしりと書いてあったそうです。
あの有名な文豪も授業中に落書きをしていたと思うとクスっと笑えますね。
芥川龍之介の一番有名な写真ご存じでしょうか?
顎に手を当ててポーズを取っているのですが、太宰治もそのまねをして
若い頃の写真に同じポーズをして撮っていたそうです。
好きだからマネするなんてかわいい一面があります。
しかし!
大大大好きな芥川龍之介の名前が入った芥川賞を取りたかった太宰治でしたが、
第一回目に「逆行」がノミネートされたのですが残念なことに受賞はできませんでした。
どうしても賞が欲しいと芥川賞の選考員の一人の佐藤春夫になんと4mもの長さの手紙を送ったそうです。
4mは怖いですね。笑
受賞を逃してしまった上に川端康成に酷評されてしまいます。
よほど頭にきたのか「川端康成へ」という名指しの文章をなんと雑誌に掲載してしまいます。
今だったら大問題の言葉が沢山並べられていたそうです。
太宰治はアレが大好き
芥川龍之介が大好きな太宰治ですが、実は彼はある調味料が大好きだったのです。
その調味料とはなんと味の素なんです。
確信を持てるのは味の素だけなんだと、直木賞作家の檀一雄という人が「小説 太宰治」で、
書いていました。
また、太宰治の自分の作品の中にも味の素が登場します。
「HUMAN LOST」の中で、
筋子に味の素の雪を降らせ、納豆と青のりとからしを添えれば他に何も不足はないと書いています。
味の素に絶対的な信頼があったと見えます。
太宰治のお墓のお供え物ものには味の素が添えられているそうです。