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音楽ダウンロードを活用されている方は、メニューのなかに「オーディオブック」という字を見つけて・・・・『なんだろう?』 思ったことがあるかもしれません。本を読み上げた音声で、カセットテープやCD、最近ではMP3形式でネットでダウンロード販売されている「聞く本」のことなのです。オーディオブックは、通勤時間などの有効利用のほか、脳の活性化やボケ防止、感性を磨くなどの効用があるといわれています。

欧米ではすでに身近なカルチャー

日本でもようやく今年にはいって数が増えはじめ、注目を集めるようになったオーディオブックですが、欧米では小説からかなり専門的な内容の本まで、すでにさまざまなジャンルのオーディオブックが発売されているばかりか、多くの書籍が印刷物と同時にオーディオブックも製作、販売されています。

利用されるシーンも、ジョギングや自動車通勤、長距離移動のお供といろいろ。国土が広大で多民族国<家のアメリカでは、長距離トラック・バスの運転手や乗客が移動中に聞くというスタイルや、移民や就労ビザで集まる外国人が文字より音声から英語に親しんでいくといったニーズも多く、オーディオブック普及の土壌がありました。

海外の映像で、ウォークマンやデジタルオーディオプレイヤーを耳につけてエクササイズやジョギングをしている人をよく見かけますが、彼らの多くがオーディオブックを聞いているとのこと。
印刷された本は愛着の対象でもありますが、内容を「情報」と捉えたとき、保管や持ち歩きにはちょっとした不便も。

オーディオブックなら、コンパクトなプレイヤーに何十時間分も収められます。通勤通学や旅行などの外出機会だけでなく、自宅でのリラックスタイムや家事、運動、就寝前など日常生活の中で、場所や姿勢にしばられず自由に利用できるのが、オーディオブックの大きなメリットなのです。

目で読む本と聴く本、その違いとは?

case_image活字の代わりに音声で「読む」のがオーディオブックで、内容は同じはず――なのですが、実際に聞くうちに、実は違う刺激を受けているということに気づきます。
たとえば、読んでいたときには気づかなかった描写に、朗読を聞いていて気づくという例があります。字を目で追っていると、案外読み飛ばしていることが多いということに気づかされる一瞬です。

逆にいえば、音声を聞き飛ばすことは難しいのですが、何かをしながら聞くことで時間のロスを埋めていくことができます。また、本を読むことは想像力を刺激してくれますが、朗読を聞くと、読んだときとはまた別の想像が膨らんでいるのを感じます。

音にはトーンやリズムがあり、人の声ならさらに個々の微妙な表現が加わることや、読み手のペースにあわせて思考を進めることを強いられるため、「頭を使」わざるを得ないのです。 人間は視覚動物といわれるほど視覚が発達し、かつ視覚に頼った生活をしています。
ふだんは二次的な感覚となってしまっている聴覚を研ぎ澄ますことが、脳の活性化を促しているのかもしれません。

「ながら聴き」で脳パワーアップ

指先や足の裏は「第二の脳」と言われます。どちらも神経が多く集中しており、動かすなどして刺激することで脳を活性化させると言われています。とくに、考えながら指先を動かしたりすると血流が良くなり、効果的なのだとか。

一方、脳は常に新しい刺激を与えてやらないと、シナプスのネットワークが働かなくなって活動が低下し、脳を萎縮(廃用性萎縮)させてしまいます。また、多少複雑な作業でも、慣れてしまうと脳は活動しなくなります。

そこで認知症の予防として、オーディオブックを聞きながらジョギングをしたり、家事や編み物をしたり ……そんな「ながら聞き」が脳を鍛えてくれるというわけです。

認知症は、仕事一筋、無趣味なまじめ人間がなりやすいとか。仕事と趣味の両立は、時間の関係などでよほどの情熱がないと難しいものですが、オーディオブックの「ながら聞き」なら、今日からでも始められる手軽な趣味。

古今の名作文学や実用書なら知識や教養も身につけられて一石二鳥、さらにそこから新たな趣味を見つけることができるかもしれません。

今日からさっそくオーディオブックをポータブルプレイヤーにつめこんで、毎日をもっと濃密に過ごしてみませんか?